Motorcycle
15年目のフルモデルチェンジ。アグレッシブなキープコンセプトデザインで「Monster 696」発表です。
93年に発売されてから、マイナーチェンジを繰り返し、15年もの長きに渡ってその姿をあまり変える事無く売り続けられてきたDucatiのベストセラーモデル「Monster」シリーズがついにモデルチェンジ施されます。前のエントリーで書いたように、既に新型モデルの存在は確認されていたので、発表自体は驚きは無かったのですが、そのハッキリとしたデザインが解っていなかったので、ミラノショーでやっと全貌を知る事になりましたヨ。で、新しくなると言うことで「Monster」という名前も変わるかと思っていたのですが、やっぱり「Monster」でした。ナンの変更もありません。ただ、今回発表されたのは、空冷エンジン搭載のエントリーモデル「Monster 696」のみでした。他のバージョンは後日という事のようです。
デザインは、大成功モデルである「Monster」から大幅に外したデザインにするという冒険はしないだろうという予測をしていたのですが、やはり、そこはイタリア人。低くマウントされたヘッドライトと、それを強調する為の大きなタンクという独特のシルエットは現状維持でも、その他のディテールは全てと言って良いくらいに変えてきましたね。
ヘッドライトは、丸目のイメージを残しつつ、ハイビームとノーマルが独立した上下2灯となり、段差のついた形状は面白いですね。また、厚みもなくなったお陰で、横から見るとゼッケンプレートだけのように見えるスポーティーさです。これに組み合わされるメーターは、前期型を思わせる小型のタイプ(デジタルパネル)が採用され、低いハンドルバーとも相まって、前期型「Monster」イメージが戻ってきていますヨ。(個人的に後期のでかいメーターと、ビキニカウルはあまり好きじゃなかったんですヨ。)
タンクの形状は(微妙に乗りやすくリファインはされているとは思うのですが、写真を見る限り、あまり変化しているようには見えませんね。前端に開いた穴はエアインテークと、タンク下にあるネジ穴を考えると、エアクリボックスのフタにする為、プラスチックのカバーになっているようです。真ん中に入ったラバーのラインが新しく付け加えられたデザインの上のアクセントの様です。このタンクとは対照的に劇的な変化をしたのが、フレームですね。なんと「Monster」専用の設計ですヨ。GPレーサーの「Desmosedici RR」の様な、前側のみのパイプフレームとシートレールを兼ねたアルミフレームだけの最新の構成ですヨ。今までのDucatiのモデルとは違うレーサー直系という雰囲気がたまらないですね。このシートレールは下のステッププレートと形状が合わされていて、芸が細かいですね。
リア周りは、カウルの無くシートだけという形でまとめられ「Monster」らしくなっていますが、形状はよりスーパースポーツモデルに近くなっていますね。コーナリング時のホールド製は良さそうです。テールランプとそこから伸びるフェンダーのデザインは、キープコンセプトですが、若干小ぶりになっていて、シートで終わっているという感じがより強くなっています。また、新型にも用意されたリアシートカバーを付ければ、よりスポーティーが増すのですが、もうこの部分だけでもスーパースポーツですヨ。また、サイレンサーが、社外パーツメーカーが好んでやっていたアップタイプになり、メガホン状の形状と、短い長さ(日本では騒音規制ため長くなると思いますが)と相まって、ナカナカの格好良さです。これにより、太く逞しくなったスイングアームの迫力を楽しめる様になっているのが嬉しいですヨ。
「Motor Box」の記事と、「MCN」の記事によると、695ccから696ccとたった1ccしか増えていない空冷90°V型2気筒エンジンは、ボアストロークが88×57.2mm、圧縮比が10.6:1となり、80hpのピークパワーを9,000回転で発生させ、7kgの最大トルクを7,750回転で発生させます。これは、同社の800ccのエンジン並の性能を実現しているそうです。さらに強大なバックトルクに対応する為、スリッパークラッチが標準装備されているそうです。また、フィンの形状や、新しい廃熱の試みをして、冷却効率を上げている事も、大幅なパワーアップの一因かも知れませんね。EFIは、口径45mmのスロットルボディを採用して、もちろん欧州の排ガス規制ユーロ3に対応済みだそうです。後、タンク容量が1リッター増量の15リッターになっているそうで、少し嬉しいですね。
足回りは、フロントに直系46mmのSHOWA製の倒立サスペンションを採用。それに組み合わされるブレーキシステムは、フロントに直系320mmのブレーキディスク2枚に、ラジアルマウントされたbrembo製の4ポットキャリパーとなっています。ちなみにリアは、直系245mmのブレーキディスクとなっています。また、乾燥重量163kgと5kgもダイエットした車体と、シートの形状変更、さらにはハンドルの切れ角も左右32°となり、乗り手に優しいシャーシになっています。シート高が低めであれば、小柄の人にも光明が差しそうです。
で、「Monster 696」は、「Monster 696 S」が存在するようです。恐らく、リアシートカウルの有無とか、サスペンションがOHLINSになるとかでしょう。気になるお値段ですが、「Monster 696」が7,850ユーロ(日本円で約130万円)、「Monster 696 S」が8,200ユーロ(日本円で約136円)となっています。まぁ、エントリーモデルですから標準的な値付けだと思われます。しかし、新しい「Monster 696」は、正直、元「Monster」乗りとしては気になってしまう所ですヨ。初期型のイメージに戻っているところがまたイイですヨね。写真見ただけで欲しくなっちゃた人、けっこういるんじゃないですかね。かく言う自分もその一人です。
もし、エンジンに手が入ってパワー・トルクがアップされるとしたら、400cc版も良いかもと思ってたりします。