前のエントリーで、BMWが50年ぶりにモーターサイクルレースに復帰する場として世界耐久選手権に出場を計画していると書きましたが、｢MCN｣の記事によると、公式に参戦の発表が行われたようです。出場用のSBレーサーも同時に公開されました。前のエントリーで紹介したスクープ写真は、と同じ造形の箇所を見つけられるので、同じモデルと思って間違いないようです。しかし、まだ詳細を公開する段階ではないようで、ちょっとしたエンジンスペックと写真が公開されたぐらいです。記事中では、｢Sportboxer｣と呼称していますが、正式な名前なのかはよく分かりません。

全体的に、レーサーイメージの強い空力特性の良さそうなシルエットで、他メーカーとよく似ているデザインを採用しているのですが、独特な形状を与えることに拘るBMWらしく、｢K1200R sports｣をお回せるディテールを与え、デザイン全体が個性的に見えるように工夫されています。アッパーカウル下に大きく設置されたギドニーグリルを思わせるエアインテークは、迫力満点で、ファニーな感じのヘッドライトの部分と合わさり、なんか不思議なまとまり感があります。タンクと一体になりエアダクトを兼ねたサイドカウルは、横に突き出したシリンダーのお陰で、ハーフカウル状になっているのですが、アンダーカウル側面と一定になるように造形され、フルカウルをまとったように見える工夫がされています。リアカウルは、最近流行の薄型とされ、アップタイプサイレンサーを包み込むような造形を与えられています。耐久レーサーという事で、ハンドルは高めなのですが、スパルタンなカッコヨサは少し薄いのですが、それでもナカナカ速そうなデザインに仕上がっているの見ると、BMWのデザイナーやるなって感じですね。

前回のスクープ写真では、足に隠れて一部しか見えなかったフレームなんですが、今回の写真から察するに、｢R1200S｣がベースでもなく、｢HP2｣がベースでもない、全く新しいフレームである事が分かりますね。スイングアームピボットからシートにかけて、トラス状に組んだフレームが見えるのですが、どういう構造になっているのか興味津々ですヨ。かなり独特な構成である事に間違いないです。

足回りも驚いたのですが、フロントサスペンションに倒立ではなく正立が使われている事です。サンペンションには並はずれて拘りのあるBMWですから、何か新しい機構が採用されていると思われるのですが、詳細は分かりません。対してリアはお馴染みの光景で補強のような物は見あたらないのですが、レースでもシャフトドライブに拘るようです。

エンジンは、見るから空冷4ストローク水平対向2気筒というフォーマットというのが分かるんですが、排気量等の細かいスペックは発表されていません。何故かピークパワーだけは公開されていて、140hpなんだそうです。これで195kgの車体を加速させるわけですが、同クラスの他社モデルが軒並み180hp以上の数値をたたき出しているので、スペックだけ見ると非力という印象です。実戦では、この50hp近い差をどうBMWは埋めるのか戦いぶりに興味が湧きますね。

この｢Sportboxer｣は、SBレーサーという事で市販されるようです。9月のバリショーで生産型が公表され2008年モデルとしてショールームに並ぶ予定なんだそうですヨ。価格は12,000ポンド(日本円で約2,860,000円)前後と予想されています。恐らくプレミアムモデルとして位置づけられている｢HP2｣シリーズが、日本では2,415,000円という価格を付けているので、それより上になると思われるのですが、総じて英国で売られるモデルは高い値付けになるので、やや下の2,600,000円位が日本では妥当な線かと思うのですがいかがでしょうか。

ナカナカ購買意欲をそそるデザインなので、他の欧州メーカーのモデルに比べ割高でも、そこそこ売れそうな予感がしますヨ。