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良い意味で裏切られた「どろろ」は、バランスの良い作品で楽しめましたヨ。

どろろ

公開開始から大夫遅れましたけど、「どろろ」を観てきました。このまま、スルーしちゃっても良いかなと思ってたりしたのですが、制作発表時に書いたエントリーで、『原作を大胆に脚色』っていう禁断のフレーズと、「男女間の微妙な心情を表現し」という言葉に、あの「どろろ」世界で、テレビドラマばりの恋愛ドラマが展開されるんじゃないかと予想して失敗臭が漂うとまで書いていたので、やはり書いた以上は検証という意味でも、観ておかねばいけないだろうという事と、公開してからの評判が上々で、ナカナカ面白いという話を耳にしたので、重い腰を上げたというわけです。

既に、公開開始から3週間経っていたという事と、朝一番の上映という事もあり、地元の映画館では客入りは少なくガラガラでした。初日にガラガラだったら、本当に面白いのかと不安になるところなのですが、それは今回の場合、故手塚治虫氏のまんが原作は、分かり易いキャラクター設定と、短いストーリーを積み重ねて大きなストーリーになるように作られているので、比較的映画にしやすい事は、同氏原作の映画作品を何本か観た経験から分かっているので、この部分に関しては不安は全く無かったというのが大きかったですね。

ただ、やはり「男女間の微妙な心情を表現し」という部分が、どう料理されているかで、この作品が駄作になるか決まるだろうと思ってはいましたけどね。

基本的に、原作のどろろと百鬼丸が肉体取り戻す旅の過程で、成長するが故に、もがき苦しんだり、人間の業の深さとかといった、やや重い部分は短いエピソードに圧縮され、体を奪った魔物を倒すたびに百鬼丸の体の一部が取り戻されるという奇抜なアイディアから派生してくる物語を楽しむ方向に重点を置いた娯楽性の高い作劇になっています。必然的に魔物との戦闘アクションを多く見せるようになっているので、邦画にありがちな中弛みが無く、テンポ良く話が進行していくので観てて飽きませんでしたヨ。

また、無理に原作のエピソードを押し込めようとしていないので、どろろと百鬼丸の設定も、簡潔かつ丁寧に描かれ、その奇抜な設定を分かり易く観客に納得させる事に成功しているように思えました。ニュージーランドロケという事で、日本的ではないその風景が、日本ではなくどこか日本的な架空の世界と思わせるように仕向けれた事も、それを裏打ちする事になっていると思いますね。ちょっと暗い画面の雰囲気は、洋画的な感じになってて無国籍度アップで良かったですヨ。

一番不安だったどろろの年齢等々、原作からの設定変更が意外と違和感なくすんなりと受け入れられたのは、やはり柴咲コウのオーバーなくらい突き抜けたコミカル演技の賜物ではないかと思いますね。どこか、幼児性を感じさせる演技は、妻夫木聡演ずる百鬼丸の重い暗い性格との対比で素晴らしく光ってたと思います。また、ベタな恋愛は一切廃して、ほのかに好きなのかなと思わせる恋愛の表現は、こっちの方向に気持ちが向かい過ぎてダメになる邦画のパターンに陥っていなくてストーリーとマッチした感じがしました。

後、20億円という邦画としては巨額の予算をかけたVFXなんですが、シーンによってバラツキが目立ったのが残念。出来のいい箇所とそうでない箇所は、洋画のVFXと、テレビ番組の特撮ぐらいの落差で、もう少し品質を一定にできないものかと思ってしまいした。とりあえず、着ぐるみ特撮は日本の伝統芸だから入れなくちゃいけないという事で、無理矢理納得している方が良いかもしれません。

しかし、それを補って余りあるアクションは観る価値有りでしたね。アクション監督に「HERO」で有名なチン・シウトンを招いたのは正解でしたヨ。チャンバラの枠に捕らわれないアクションは見応え十分でした。ただ、最後のクライマックスでは、従来のチャンバラに戻ってしまうのですが、往年の黒澤明監督作品のような静のアクションで、緊張感たっぷりの演出にされていました。渋い雰囲気は嫌いではないので、自分的にはコレはコレでOKなんですけど、派手な演出が好みの人には盛り下がった感じがして辛いかもしれませんね。

20億円という予算の割には、粗も目立つ作品でしたが、総じてバランスは良いと思いましたヨ。ちょっと対象年齢が高めなのと、ホラー手は要素もある原作なので、グロ表現が多いという事で、対象を絞らなければいけないのが残念ですが、基本的に誰にでも楽しめる作品に仕上がっていると思いますヨ。「どろろ」は良い意味で裏切られた作品でした。

どうも、この好調を受けてパート2と3の構想を開始したそうです。とりあえず、細かいの作品て物語としては終わっているので、無理に大河ドラマにせず原作のエピソードをつなげていけば2、3本は作れそうですね。オリジナル要素が増えると破綻の危険性が高まりますが、是非とも今作を超えるべく頑張っていただきたいモノです。

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このページは、naganagaが2007年3月 5日 23:46に書いたブログ記事です。

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