Book
これからの経済を知りたくて、的確な予測で定評のある経済学者ラビ・バトラ氏の「2009年 断末魔の資本主義」を読んでみました。
1929年10月24日にニューヨーク証券取引所で株価が大暴落したことをきっかけに生じた金融恐慌以来と言われる、08年9月のリーマンショックから本格化した世界的不況。日本は、他の先進国に比べて、影響が小さいと言われておりますが、個人的なレベルでは、影響されまくっております。
そういう大きな危機が迫っているとネット関連の情報から掴んではいたのですが、まだ大丈夫だろうと高を括って08年9月で会社を辞めてた訳ですが、その目論見は見事に大きく外れちゃいまして、只今、開業特有の得意先無しと、不況のお陰で、仕事のオファーが少なくて苦労させられていますヨ。
某巨大掲示板サイトの2ちゃんねる界隈で、現在世界全体を覆っている世界的不況を見事に予測していたというインド人経済学者のラビ・バトラ氏の著作から、氏の予測の要約がコピペを見かけたのですヨ。要約を見る限りでは、ここ数年間、ラビ・バトラ氏の予測通り、世界経済が動いて世界的不況に陥っているんですヨ。ラビ・バトラ氏の事が気になって調べてみると、過去に「イラン・イラク戦争の勃発」「ソ連解体」「日本のバブル崩壊」等々の予測を見事に的中させたスゴイ経済学者なんだという事が分かって、著作を読んでみたいと常々思っていたんですヨ。
しかし、読んでない本の読書を優先させる為に、あえて購入を避けていたのですが、こう仕事が無いと、いつこの不況が終わるのかによって戦略を変えなければいけないので、先の予測でも知ってみようかと、最新刊として店頭に並んでいた、あ・うん刊の「2009年 断末魔の資本主義 崩壊から聡明へ 光は極東の日本から」見かけたので買って読んでみました。
あんまり、経済関係の本を読み始める時って、内容が数字なのでワクワクしないのですが、今回に限っては、予言本を読むような感覚でワクワクしてしまいしたヨ。
プロローグから飛ばしてくれます。「2009年の新たな5つの予測」と題して、いきなり予測でヨ。
- 2009年は歴史に残る「資本主義大崩壊」の年になる。
- 原油急落は一時的なもので、1バレル100ドル超に上昇する。
- イランが中東で大きな動きを見せる。
- 円高はさらに進行し、1ドルは80円レベルになる。
- 日経平均は5,000円前後まで下落する。
現状だと、ちょっと信じられない所もありますが、その後の冷徹な分析には説得力があるのですが、荒唐無稽の様に感じられる部分もあるなと思いながら、次の2008年の予想の検証を読み進めていくわけですが、もう前作の「2010年資本主義大爆裂! 緊急!近未来10の予測」で予想した内容が気持ちいいくらい的中してて、2009年も大半の予想が的中してしまうんじゃないかという気がしてきましたヨ。
第1章から第4章までは、08年9月のリーマンブラザーズ破綻以降に世界で起こった事が
詳細かつ、経済音痴の人にも分かり易く分析されていきます。好景気の間に米国が行ってきた資本主義を、強欲資本主義とか、略奪資本主義とか言われてますが、それがいかに酷いモノであったかよく分かります。これまでの好景気は、嘘をつき続け中流以下の人達を騙すことで事で支えられている経済だったのですね。金融危機は起こるべくして起こったといえるようです。金持ちが強欲に金をガブガブ飲み込んでも限界があるって事ね。
期待されているオバマ政権も、ラビ・バトラ氏の見立てからすると、お粗末な経済対策しかできないだろうと予測が立てられておりまして、本書が1月発売なのですが、それから4ヶ月経過した現在、オバマ政権の経済政策を鑑みると、氏の予測が着々と実現している様に感じられますね。
この好景気に踊った国々の事も書かれていますが、博打でいう胴元の米国経済が資金不足という事は、そこに賭けてた他の国々の方は、さらに資金不足という事になる訳で、かなり深刻のようです。発展途上国では資金不足イコール政情不安になるので、世界は、どんどん焦臭い方向に進みそうです。虚偽の統計を出して、好景気を装っている国もありますが、実態が分かった時はどうなるのか、考えただけでも恐ろしい。
ラビ・バトラ氏よると、金融危機は「未知の世界」に突入したばかりだそうで、これから何が起こるか予想が付かないそうです。略奪的資本主義が粉々に崩壊するまで、不況は酷くなる一方である事に間違いないそうです。
ただ、光明が全く無いわけではなく、ラビ・バトラ氏が提唱してきた経済民主主義政策(プラウト経済政策)を、賭場に参加できなかった日本がいち早く始め(古い日本経済に回帰する)、世界経済をリードしてくのではと予測されていました。今の政府を見てると、望み薄な気がしないでもないですが、そう言うことらしいです。
外国の人から「富と権力を一極集中させず、公平に分配させ、雇用を確保する」って、日本人のダメな部分だって言われていた事が正解でしたって言われると、なんだかむず痒いのですが、個人的にも、なんだか頑張って働こうっていう気になりましたヨ。希望はあるにしても、この不況は長く続きそうなのは、間違いなさそうです。これが確認できるだけでも読む価値があると思いますヨ。
- 2009年 断末魔の資本主義―崩壊から聡明へ 光は極東の日本から
- Ravi Batra Pema Gyalpo ペマ・ギャルポ
- あうん 2008-12
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- おすすめ平均
- 不安と好奇心
- バトラを追いかけ続けて22年目 バトラが本書で示す恐るべき「2009年の5つの予測」も見事に的中することだろう。 しかし、恐れることはないと彼は語る。
- 今、世界で起こってる事を理解するには最良の書
by G-Tools , 2009/04/28