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「中国の危ない食品 中国食品安全現状調査」で知る、日本の反面教師中共の食の現状。

中国の危ない食品 中国食品安全現状調査

北京オリンピックが、間近に迫ってきたという事で、偽装、虐殺、弾圧等々、最近何かと話題に事欠かない中華人民共和国(以下中共)。今まで隠蔽してきたモノが、オリンピックという世界的に注目されるイベントのお陰か、どんどん白日の下にさらされております。面子を保とうと更なる上塗りを繰り返しちゃうもんですから、中共のカオスイメージは世界的に鰻登りですヨ。そのカオスイメージが付く発端となった問題といえば、世界的にはやっはり毒食品ですヨね。海外で起こった事件や、毒ギョーザ事件で大まかには知っていたんですが、もう少し突っ込んで知りたいと思ってた矢先、中共の食汚染の実態を書いた、草思社刊の「中国の危ない食品 中国食品安全現状調査」巡り会いましたヨ。もちろん、早速購入して読み始めた訳です。

個人的には、著者が中共人であった場合、日本在住であったとしても中共政府のプロパガンダの片棒を担いでいる場合が多いので、購入して読む事はあまりないのですが、本書の著者周勍氏は、1989年の64天安門事件に連座したとして、3年近く獄中にいたジャーナリストと紹介されていたので、中共政府にとって都合の悪い事も書いているだろうと期待して読み始めたヨ。本書の内容は自分の予想を上回りましたね。かなり、中共食品の闇に突っ込んでいます。中共国内でも出版の計画があるそうですが、発禁ならないのかと心配になる程の内容でした。流石は、4年にも及ぶ取材期間は伊達じゃないですね。もう目次からして、その中共政府に対する容赦しない姿勢がアリアリと分かりますヨ。

  • 第1章 民族の命運にかかわる「食品汚染」
  • 第2章 豚の赤身肉が「妖怪」になるまで
  • 第3章 恐るべき食品危害
  • 第4章 経済のグローバル化と「食の安全」をめぐる戦い
  • 第5章 引き裂かれた「天」を修復する―食品の安全は守れるのか
  • 著者へのインタビュー―悪化の一途をたどる中国国内の食品安全問題
  • 識別法 中国で食品を買うときの注意と選び方

さらに各章は、細かく項目が分かれているのですが、その全てが中共国内の食品汚染の事例で、それがマシンガンのように次から次へと繰り出されるのです。大々的に事件になった事例でこの数ですから、紹介された事例は、氷山の一角だと言うことが分かりますヨ。それだけでも背筋が凍りそうです。

紹介されている事例をいくつか紹介しますと、

  1. 手間を省くために餌にホルモン剤を大量に添加した養殖水産物を養殖し販売し、それが原因で性早熟児が大勢あらわれた。
  2. 古くなった豚肉を、喘息治療薬を使って新鮮に見えるように赤身化した豚肉を食べて大勢の中毒患者を出した事件が多発。
  3. 発癌性のある工業用合成染料「スーダン・レッド1合」で卵の黄身の色を鮮やかに加工して販売。
  4. 下水の排水口にたまったゴミ油を原料として、安い食事を提供する飲食店向けの食用油やサラダ油に加工販売。
  5. 人間の頭髪を分解したアミノ酸溶液で作った醤油を販売。

箇条書きにしただけでも十分な破壊力ですね。更には、農地には工場排水から水銀が染み込んだ等々、土壌汚染の事例には事欠かず、インフラ整備が遅れている為に水道管の八割に鉛塩パイプが使われているそうですから、公害も拡大の一途を辿っているようです。食品汚染は、中共国内のみならず、輸出用食品にも出ているという事は、もはや、改善不能なところまで汚染は深刻化していると思って良いでしょう。

賞味期限を偽装したり、味の良く似た安い食品を調達して高級食材を偽装したりと、セコい手口を得意とする日本の守銭奴食品業者が、裸足で逃げ出すほどのスケールですヨ。まさに「赤信号、みんなで渡れば怖くない」を地でいくというところでしょうか。

日本は、農薬のメタミドホス入り餃子程度で済んで良かったと考えてしまう程です。

とにもかくにも、中共国内の食品の実態は、不衛生、安全無視、不正の横行、厚顔無恥な上に利益優先と、良くこれで商売が成り立っていると不思議に思いますね。

著者が、本書を書くきっかけを綴った序文で、中共の癌患者の増加を異常な事態だと書いているんですが、こんな惨状で、癌患者が増えない方がおかしいですヨ。中共政府も放置している訳ではなくて、自国製食品の安全性を高めるという政策を推し進め、徹底的な取り締まりを実行するとを国内外に宣言していますが、そもそも中共人民は「上に政策あれば、下に対策あり」とまで称される良くも悪くもタフな民族である上に、拡大する一方の貧富格差が守銭奴根性に火に油を注いでいるような状況ですから、解決までには程遠いんじゃないでしょうか。本書も自衛するしかないという結論に至っていますし...。

中共の食品汚染から垣間見る、顧客不在の経済活動の顛末を極端な事例から学べるという点と、それを通じて、中共人の精神構造も理解できるお得な内容で、日本で横行している食品偽装事件と合わせて、日本の「食」を考え直す切っ掛けを与えてくれる良著だと思います。読んでみると何かしら得るモノが大きいと思いますヨ。

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中国の危ない食品―中国食品安全現状調査
周勍 廖建龍
草思社 2007-09-29
売り上げランキング : 49643
おすすめ平均 star
star食せる物がなく、五輪や万博にはとても行けない。
star一向に改善されない中国の食品問題の深淵
star★もう、北京オリンピックはボイコットしかないな、と。★
starホルモンは微量でも人体に影響しますよ
star「将軍様」も恐れる中国製品

by G-Tools , 2008/05/07

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このページは、naganagaが2008年5月 7日 22:25に書いたブログ記事です。

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