Book
「中国が世界をメチャクチャにする」で読んで、中共が世界経済を破壊する様をリアルに感じました。
今回読んだ草思社刊の「中国が世界をメチャクチャにする」という本なのですが、ちょっと過激なタイトルが良いでしょう。自分としては、珍しく帯のコピーに引かれず、このタイトルに引かれて買ったんですヨ。「世界の工場」と呼ばれ、急激な経済発展を遂げる中華人民共和国(以下中共)が、どのように世界の経済に影響を与えて、世界をメチャクチャにしているのか、その実態を知りたいのと、地元の基幹産業が中共に仕事を奪われた経緯と仕組みを理解したい思っていたので、その疑問に答えてくれる格好の本だった訳です。
内容は、「世界の工場」 を標榜する中共の急激な経済成長に伴う影響を、仕事を奪った中共側、仕事を奪われた欧米側を、丁寧に取材した現地ルポを通じて、経済、政治、社会等々あらゆる面から分析しています。また、そこから導き出される中共の現状と、今後の見通しについての予測を書いています。流石に、ファイナンシャル・タイムズという英国の経済誌の北京支局長を務め、中国に留学経験もある著者ジェームズ・キング氏ですから、その分析は、中共人の心情まで理解して書いている為、妙に信憑性が高い様に感じましたヨ。
今の中共は、経済が発展しいた100年前の米国や、50年前の日本の姿とだぶるとよく言われていますが、本書に書かれている、欧米の企業が、新興の中共企業に打ち破る姿は、米国や日本とはかけ離れたものの様に思えます。紹介されている事例一つ一つの印象として、中共はアンフェアな商売をするという事ですね。安い賃金と勤勉さを武器するというのは新興国の強みではあり、競争相手の経済を破壊してしまう事は常なのですが、米国も日本もどこか手加減をしていた様に思えます。しかし、中共は違い、安い製品を輸出するだけでなく、さらに密航をさせてまで安い人材を輸出し、相手国の経済を根刮ぎ破壊している様に思えましたね。この中共の動きは、世界の勢力分府の流動化させ不安定要因を日々増大させているように思えます。
しかし、この急激な発展は、中共国内に歪みを多く生じさせているようで、特に経済活動による環境負荷は、世界中の資源・エネルギーを買い漁り、大量消費をまともな環境対策を行わず、何も考えずに突っ走っているのですから、健康被害以上の状態まで進んでいますヨ。金さえ儲かれば、後はどうでも良いと言わんばかりですから、改善は望み薄のようです。グローバリゼーションの波に乗って、先進国の企業から技術を貪欲に吸収し続けているので、環境対策もそれなりに出来そうなんですが、儲けにならない事はしない主義のようですね。
また、モラルは完全に欠如しているようで、役人の汚職は凄まじい。知ってはいましたが、改めて汚職の事例を読まされると、こんな国が隣国にあるのかと思うと鬱になりそうですヨ。本当、中共の役人相手に商売をしている日本人ビジネスマンの皆様には尊敬の言葉しかありません。
もうね、中共という国を上げて倫理というモノが破綻しているわけですから、世界経済は撹乱状態になるわけですヨ。挙げ句の果てに、資源を得る為だけに、南米やアフリカの問題ある国に投資をしたりして、国際問題を引き起こしても知らんぷりして、エネルギーや国際商品市況の相場の吊り上げを起こして、さらなる撹乱状態を作り出すわけですから始末が悪い存在です。まさに本書のタイトル通り「中国が世界をメチャクチャにする」な訳です。
ある意味、この中共という国は、世界にとって「癌」なのかもしれませんね。流石は守銭奴中共人の面目躍如といったところでしょうか。
今後の中共は、米国との対立が顕著化するだろうと予測していますが、対立する前に金融工学に信奉し過ぎ、労働を軽んじた米国は、不況への道を突き進んで中共どころではなくなっていますね。本書の見方では対立するしても、中共の拝金実利主義が、決定的対立を回避するという動きになるのではと示唆していますが、自分は、中共はガッチリと米国経済を下支えする役割をしている為、一緒に不況に転げるようになるかも知れないと思っています。だって、金儲けばかりでリスクヘッジしてないんですから。
なので、米国が急激な景気減速に陥った場合、中共もただでは済まないでしょう。世界経済を巻き込んだ拝金実利主義の代償は、今後大きく中共にのし掛かってくるでしょう。ほら、屋台骨が軋む音がしませんか。他国にちょっかい出してるヒマあるのかな。
原書の「China Shakes the World」が発売は、2006年なので、ちょっと書いている事が古いので、現状と合わない箇所もあるのですが、中共の経済運営が、何も改善点を修正していないのに驚かされます。そこだけでも、本書を読む価値はあると思いますヨ。後先考えず世界を厄災を振りまきながら発展する中共台頭の影響とこれから行方について考えさせられる良著ですので、中共問題に興味のある方は是非手にとって頂きたいと思います。

- 中国が世界をメチャクチャにする
- ジェームズ・キング 栗原 百代
- 草思社 2006-09-28
- 売り上げランキング : 10086
- おすすめ平均
中国は70年前のナチスドイツと同じ
中国は驚異であるとともに中国無しでは世界はやっていけない
ドキュメンタリー(写真や表はつかわれていません)
拡大する中国の影響を捉えた良書です。
中国が引き起こす世界勢力構造変化を捉えている
by G-Tools , 2008/03/19

- China Shakes the World (Phoenix)
- James Kynge
- Phoenix (an Imprint of The Orion Publishing Group Ltd ) 2006-12-27
- 売り上げランキング : 80860
by G-Tools , 2008/03/19