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恋愛至上主義が生む格差を「中年童貞〜少子化時代の恋愛格差〜」で再確認しましたヨ。

中年童貞〜少子化時代の恋愛格差〜

どこだったか忘れてしまったのですが、とある少子化問題について書かれている記事で、この扶桑社刊の「中年童貞〜少子化時代の恋愛格差〜」が紹介されていたのです。記事の内容は、この本の内容に即したモノだったのですが、それよりも、この本のタイトルを見た時の衝撃は大きかったですヨ。この4文字のタイトルだけで、少子化問題の本質を射貫いていたからです。自分も、ニュースとかで少子化問題が取り上げられる度に、何か違和感のようなモノを感じていたのですが、この「中年童貞」という4文字で全て説明されてしまった訳ですからね。本屋でこの本を見かけたら買おうと心に決めた訳ですが、実際手にとって、帯に書かれていた「恋愛は誰にでもできるというものではない。もちろん、結婚もだ。」のコピーを読んだ直後には、もうレジで精算を済ませておりました。

興味津々で読み始めたものの、自分もいい年して今だ伴侶が見つけられない男をやっている現状で、自分の恋愛敗北歴と敗北原因を思い出さしながらの、ちょっと辛い読書になってしまいましたヨ。

第1章、第2章では、社会問題としての中年童貞について書かれていまして、格差社会と呼ばれるモノが、何も経済の世界に限ったことではなく、様々な格差を生み出している一つの側面である事を、「コミュニケーション技術が欠如」や「女性と付き合う為の努力が不足している」といった意見に対して同意しつつ、オタクだから中年になっても童貞なんだという偏見を排除して、恋愛至上主義(結婚後であったとしても、恋愛の情熱が無くなれば別れることを選び、また他の異性と恋愛に走ることもやむを得ずとする主義)という言葉をキーワードに、なぜ中年童貞という恋愛弱者が存在しているのか分析しています。

本書掲載のデータによると、各年齢層の男性未婚率は、47%〜21%(30代前半が最も多い)で、そのうち4割前後に性交渉経験が無い(30〜34歳の場合)そうです。さらに恋愛的に富める者(恋愛強者)が富(この場合女性からの愛情)を独占していながら、恋愛的に下層に沈んだ者(恋愛弱者)が大勢いるという極端な二極化が進んでいる現状が書かれています。また、それが必ずしもルックスとは関係の無い事が多いというのが始末が悪いんですね。さらに、その格差は、富める者と女性達の心ないレッテル張りによって格差が固定されていくそうで、下層に沈んだ者を絶望させる十分な内容ですヨ。

恋愛格差が、実態として現れるのは結婚件数で、恋愛結婚が占める率は全体の9割と圧倒的で、見合い結婚は1割にも満たない現状なんだそうです。晩婚化未婚化でキャパが下がっている上に、かつて、お見合い結婚というシステムが、異性と付き合うことが苦手な人達を引き合わせる事で、結婚ができるというセーフティーネットだったモノが崩壊していると言うことは、恋愛の前段階で門前払いの恋愛弱者にとって結婚は無いものと思えと言わんばかりです。ネットとかの発達で、出会える機会が増えているにも関わらず...。

実際に、第2章の中年童貞と言われる人達の切実な思いは、自分も共感できる所が多々あり、考えさせられる内容だと思います。ただ、風俗で童貞は捨てたくないという主張は、現代の恋愛至上主義社会においては、理解されないでしょう。自分もどう解釈していいのか分かりませんでした。恐らく、性交渉を単なる行為としてとらえるか、愛のファンタジーとしてとらえるかという認識の違いが大きいのではないかと。中年童貞の人達は、後者の愛のファンタジーです。そこに物語を感じているからこそ、性交渉を安売りをしたくないんだと思いますヨ。独りよがりである事は間違いないですが...。

本書を読まれる女性の方には、自分達が無意識にやっている事を思い浮かべながら読んで欲しいモノです。

しかし、第3章は、脱童貞の道を示そうとするのですが、ここは頂けない。モテない人が恋愛指南を書いても説得力が薄いですヨ。とか、書いておきながら、紹介されていた「Excite恋愛結婚」に登録しちゃいました。けど、仕事に運動にと忙しくて、全然メッセージ書いてないですけどね。(無駄遣いなのと、本気になれない部分があるので辞めようと思ってます。)

第4章の中年処女についての現状は、男性の場合よりも、より厳しい状況なのが分かります。しかし、彼女たちの愛のファンタジーは、男性のそれよりも強力なようで、正直、結婚は宝くじで3億円当てるより難しいように感じます。少なくとも、似すぎているが故に、中年童貞の男性達とは交わらない存在だと思いましたね。

第5章の座談会での室井佑月は、恋愛強者だった為か、発言が痛すぎますね。

そして、終章はナカナカと感動大作ですが、終わりが切ないですナ。

国や、大マスゴミは、挙って少子化、少子化と騒いでいますが、結婚の件数を増やさなければ子供は増えないという根本的な事を忘れている様に思えますね。大家族が成立する経済状況ではない事を分かっていないですヨ。そこに目を瞑って、結婚ができないという事実を、当人達の身勝手という所に落とし込んで問題から逃げているようにも思えます。相も変わらず、女性向けのファッション誌では、「モテる」、「差を付ける」等々、恋愛成就に向けたテクニックの話題が満載で、無責任に恋愛至上主義を煽るその姿勢は、無邪気さを伴っているからこそ、腹立たしく思うことがありますヨ。

個人的に、咥えタバコの女性や、足を広げて座る女性を見て思う事は、女性という価値観みたいなモノは、既に崩壊していて、世の中は女性の姿をした男性が増えているんじゃないかと思うときがあるんですヨ。もしかしたら、中年童貞と呼ばれる男性達は、そこに同性の臭いを感じてしまって一歩も二歩も引いているんじゃないかとも。分かり易く言うと、男性の性趣向がノーマルであるならば、同性愛はできないという事です。

本書を読み終えて、自分も含めてなんですが、もう時すでに遅しというならば、家族を持つという幸せを得るという事に労力さくよりも、それ無しで、自分にとってどう生きたら幸せになれるのかという事を考える事に労力をさく方が建設的なんじゃないかと思いましたね。その春は、本当の春なのか、もう一度疑ってみるのも良いかと思います。

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中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差―
渡部 伸
扶桑社 2007-05-30
売り上げランキング : 61515
おすすめ平均 star
starアンビバレントな中年童貞
star「少子化問題」と「童貞問題」は無関係
starあなたは笑い事で済ませますか?
star同情はするが共感はできない
star童貞のモテようとする努力が肌で感じ取れます、、、

by G-Tools , 2007/12/22

コメント [1]

「前世と生まれ変わりの超真相」のレビューがアマゾン以外でないかなと検索したところ、こちらのブログ記事にヒットして読ませていただきました。とても参考になりました、ありがとうございました。そのあと関連記事にこの記事が表示されていたので興味深く感想を読ませていただきました、実は自分も二十台後半の童貞なので関心を持ったというのが本音なのですが…(苦笑)2つの記事ともとても面白く読ませていただきました、感謝。
※このコメントの表示・非表示の希望は特にしないのですが管理人
さまにどちらにするかはお任せします。
ありがとうございました。

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このページは、naganagaが2007年12月22日 02:12に書いたブログ記事です。

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