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守銭奴によるグローバル化は、日本の企業をブラックにするようです。
今回読んだのは、光文社刊「本日より「時間外・退職金」なし-日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊」です。購入の決め手は、その題名ですね。「サラリーマン社会の崩壊」という文言に見事に釣られて買ってしまったんですヨ。何故かというと、日本マクドナルドといえば、日本で最初にファーストフードを紹介し、急速な店舗拡大で日本の津々浦々まで出店、ファーストフードの代名詞と言われるぐらい浸透している企業なのは皆様のご存じ通りです。その名前から外資系の企業と思われがちですが、創業時の社長だった故藤田田氏が、米国マクドナルドとは一線を引いた経営をしていた為、バリバリの日本企業だったというのを知っていたからです。それが、現在、本書に「サラリーマン社会の崩壊」とまで書かれているぐらいの変化しているわけですから、外資系企業(とくに米国資本)の経営とはどういうものかを、過去の日本マクドナルドとの比較によって知る事ができると思ったからなんです。
それともう一つ、数年前に、Apple日本法人の社長だった原田永幸氏が、日本マクドナルドCEOになった事で、一Appleファンとして、原田永幸氏がどのような経営者であったのかというのを、氏が行っている日本マクドナルドの経営改革から知りたいと思ったのもあります。
本書は、故藤田田氏が始めた、バリュー戦略(100円マック等々の低価格戦略)の行き詰まりから藤田時代のの終焉を迎える直前の日本マクドナルドからスタートします。
故藤田田氏が作り上げた日本型経営を否定し、米国マクドナルドによる米国型経営への転換という、ここ10年ほど流れの中で、2004年の原田氏のCEO就任後は、改革という名の下に、成果主義、定年制廃止、退職金廃止と、それまで日本型経営を支えてきた従業員の権利は縮小は加速され、ついに法制度の整備に先駆けて、米国の連邦公正労働基準法第13条で制定されている労働時間規制に関する"適用除外制度"(ホワイトカラーエグゼンプション)を導入した企業となった訳です。
本書に書かれている、実際に働く(働いていた)日本マクドナルドの従業員達の声は、自分も同じサラリーマンとして背筋が寒くなるほど、現在、財界が導入を求めて政府に圧力をかけ続けているホワイトカラーエグゼンプションを、強引に日本企業に適用した場合、どういう事が起きるうるのかが良く解ります。
どうなるのか詳しくは、本書を読んでいただくとして、相当簡単に書きますと、経営者や、株主といった上澄みの層がより一層潤うと同時に、現場は低賃金・長時間労働といった労働環境の悪化を強いられる二極化した企業構造となるわけです。現場で働く側は、今までよりも、より苛烈消耗品と扱いされるわけですナ。
読み進めれば、読み進める程、ここの所、噴出している日本マクドナルドの食品表示の偽装問題は、起こるべくして起こったことなんだと言うことが分かりますヨ。
本書を読み終わって最初に思い出したのが、中世ヨーロッパの農奴制(簡単に書くと、貴族が経営する荘園農場において、農民が拘束され、彼らの為だけに最低の住居、耕具の所有のみという報酬で死ぬまで働かせる制度)なんですヨ。現代の民主主義国家において、人間を奴隷として酷使する事は人権侵害という重大な罪となりうるのですが、農奴制を人権を侵害しない程度まで緩めたモノが、グローバル化した市場主義経済で勝ち残っていく最新経営手法としてもてはやされるとは、なんだか皮肉めいたモノを感じます。これを最初に考えた米国の経営者連中は、中世ヨーロッパ人を先祖に持つ人が多い訳ですから、血として持っているんじゃないかと思ってしまいましたヨ。
格差を固定させ、富める者は、より富、そうでない者は、より下層へと沈んでいき、富める者のツケを下の層が長きにわたって払わせるというのが、米国型経営と呼ばれているモノの実態ではないかと思いましたヨ。これを錦の御旗として、こういう欧米の過去に目を瞑って今の日本企業の経営者は経営している訳ですから、今日も嬉しそうに金のためならエンヤコラって訳です。お陰でドンドン企業はブラックになっていきワーキングプアが拡大し続ける事はあっても縮小するという事はありえないでしょう。漁夫の利は米国の富裕層に行くようになっていることも知らずに...。
苛烈な二極化が引き起こす社会は、今の米国を見ればよく分かります。高い塀を築き自ら檻に閉じこもらないと生活できない富裕層の姿は象徴的なだと思いますヨ。その塀の側でワーキングプアを増やし続ける米国社会の姿は、自分の目には、甘美なる死の真っ最中な気がします。幸せになれる平等な機会を奪った社会が永遠に存続するありえないのではないでしょうか。
後、原田永幸氏ついてですが、Apple時代の印象だった「大きいことを言う割にはツケを下に払わせる経営者」っていうのは、覆らなかったですね。結局米国本社の言うことをそつなくこなしているだけで、何も変わっていないです。本書では、「iMac」を成功させたって書いてますけど、我らがiCEOスティーブ・ジョブズが米国でやった事を、そのまま日本向けに焼き直しただけで、取り立てて賛美する程のものではない様な気がするんですけどね。他に日本独自で何かやってAppleの販売が上向いたという事無かったと思います。自分の記憶に残る印象的な販売戦略は無かったと言うことかもしれませんが...。それと、氏の退任の時、当時のAppleファンの間で、退任を惜しむ声は聞かれなかったように記憶しています。
で、某巨大掲示板サイト「2ちゃんねる」の「不良債権問題の解決はヤクザの殲滅から52」(dat落ちしています)で書き込みされたレスで面白いモノがあったので、付録として転載します。企業のブラック度を偏差値にしてランキングしたものですが、酷いと噂される企業が名を連ねていますヨ。有り難いことに、自分の地元の企業もランクインしてますし、自分が籍を置く業界もランクインしていますヨ。例のNOVAがランク外に消えていく前のモノですが、他はそう変わったモノではないでしょう。
946 :2008ブラック就職偏差値ランキング:2007/10/13(土) 08:27:40
- 75 モンテローザ IEグループ(光通信、ファーストチャージ等) グッドウィル アニメ制作会社
- 74 オンテックス 先物取引(外貨証拠金取引)業界 浄水器販売会社 佐川急便 サニックス ダイナシティ レイス
- 73 SEL&MST SMG 大創産業 中央出版系列(大成社等) 丸八真綿 SFCG[商工ファンド] ロプロ[日栄] ファイブフォックス(コムサ) SGS(ソミーグローバルソリュー) 人財開発(久野康成公認会計士事務所)
- 72 インテリジェンス NOVA アビバ 大塚商会 パチンコ業界 ベンチャーオンライン 富士ソフトABC[FSI] ベンチャーセーフネット[VSN] フォーラムエンジニアリング ジャステック 消費者金融業界 セブンイレブン TV番組制作会社 MIT 零細出版社 編集プロダクション
- 71 楽天 トステム 再春館製薬所 外食産業(モンテ別格) セントラル警備保障[CSP] ソフトバンクBB(販売職) アルプス技研 富士火災 フルキャスト
- 70 税理士業界 証券リテール営業 アールビバン ジェムケリー 家電小売業界(ヤマダ等) 引越業界(サカイ等) 綜合警備保障[ALSOK]
- 69 生保営業 大正製薬 JTB 丸井 レオパレス 大和冷機工業 着物販売会社(たけうち別格) トランスコスモス 人材派遣・業務請負業界(グッド・フルキャ別格)郊外型紳士服チェーン店 日本電産 セコム[SECOM] 東京コンピューターサービス(TCS) コア
- 68 宝飾業界(ジェムケリー別格) アパレル販売(外資除外) 小売/コンビニ業界(セブン別格) ソフトウエア興業 ドトールコーヒー 生保営業 オービックBC 早稲田アカデミ- 馬渕教室
- 67 メイテック[MEITEC] 自動車販売会社(ネッツトヨタ等) OA系販売会社 大王製紙 HIS 富士薬品 船井電機 伯東 ニチコン
- 66 エスグラントコーポレーション ローム ヤマト運輸 日本通運 毎日コミュニケーションズ マンションデベロッパー(不動産販売系)
- 65 旅行代理店(JTB、HIS別格) 日本食研 イオン USEN サイバーエージェント セプテーニ 伊藤園
- 64 ベンディング会社 テレウエイブ TOKAI(ザ・トーカイ) 信金業界w
- 63 印刷業界(DNP/凸版/共同除外) 西武百貨店 SE(下流/下請/独立) FIT産業
- 62 日本ハム 日本トイザラス 大塚家具 ファーストリテイリング(ユニクロ) 京セラ OTC-MR 塾講師 MR(中堅以下)
- 61 住宅販売会社(積水ハウス、大和ハウス工業 交通バス業界
- 60 東京エレクトロン ノエビア ホテル業界 ダイキン 東芝
947 :ブラックランキングに関して(解説) :2007/10/13(土) 08:28:42
ブラックランキングに関して(解説)
1999年(6年前)から、実際のブラック現役社員、ブラック脱出者、世間的な噂を吟味に吟味して決められた2chにしては珍しく真実度が相当に高い表。
自分が落ちた企業へのあてつけ、クビになった企業への当てつけとうでランキング入りした企業は即排除されると言った感じで吟味する人の眼も相当厳しい。
だから、ランク入りするときは皆で情報を集め、充分に吟味してから決められる。
ただ1つだけ言えば、ランキングの偏差値だけはおおよそのランクで特に明確な基準はない。
だけど、ランクに載っている企業は激務、薄給、超高ノルマ、体育会系、社風が異常、暴力、休み無し、異常な回数の転勤、クビ切り、社会的問題企業等何らかの異常な体質が確実にある会社。948 :ブラックの定義:2007/10/13(土) 08:36:04 ID:GSIlcWSn
■■ブラックの定義■■
- 過労死する、具体的には社風として残業するのが当たり前、休日返上当たり前
- その割に給料が安い、残業代が出ない
- 入社後3年以内の離職率が高い
- 他人に勧められない
- 仕事が誰でも覚えられる、もしくは体力勝負で数年後にはぼろぼろになって使い捨てられる
- 30歳近くになって給料が上がってくると首を切られる
- 本日より「時間外・退職金」なし―日本マクドナルドに見るサラリーマン社会の崩壊 (Kobunsha Paperbacks 101)
- 田中 幾太郎
- 光文社 2007-02
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- おすすめ平均
- 構造に震える
- スマイル0円、ついでに残業代、退職金も0円...。
- マクドナルドは炭坑のカナリヤ?
- 人が使い捨てになる時代。。。
- 今日、マックでチキンフィレオを食べながら読みました。
by G-Tools , 2007/12/17