Book
「偽装国家」読んで、透けて見える日本人の負の生態。
今回の感想文は、テレビのワイドショーとか、討論番組でお馴染みのコラムニスト(コメンテーターと言った方が良いか?)勝谷誠彦氏の著書、扶桑社刊「偽装国家 日本を覆う利権談合共産主義」です。テレビでのコメントはよく耳にするのですが、文章は読んだことがなかったので、まずは新書というライトな所から入ってみようと思ったのと、「クサい偽装は元から絶たなきゃダメ!」という帯のコピーに惹かれて買ってみましたヨ。テレビ番組で発言するコメンテーターと呼ばれる諸氏は、どちらかというと左に寄りつつ、毒にも薬にもならない発言をする場合が多いのですが、勝谷誠彦氏は、ナカナカ鋭いコメントをしてくれるので、お気に入りコメンテーターなんですヨ。(テレビに出ている以上100%信頼しているわけではないけど)
「偽装国家」という題名通り、「偽装」というキーワードを軸に、この本が発売された頃までに起きた様々な問題を解説した内容になっています。
まず、この本で言う「偽装」とは、自らの利権を確保するために、本当の姿を隠蔽して、差し障りのない姿で誤魔化す事なんですが、あらゆる事柄に「偽装」が存在していると言うことが書かれていて、読んでいるとナカナカうんざりモノですヨ。
なぜ、こういった「偽装」がまかり通るのか、副題にもある「利権談合共産主義」というものがあるからだ勝谷誠彦氏は書いています。この「利権談合共産主義」と言うのは何かと言いますと、政治と官僚、財界の癒着構造に、マスゴミと国民が黙認する日本独特とも言える政治体制・政治思想を表すために、勝谷誠彦氏が造った言葉なんたそうです。一部の富裕層(政治家・官僚・財界等の権力者)のみが、利権を獲得できるという構造が、一部の特権階級に利権が集中する共産主義国家の構造とよく似ている為、皮肉をたっぷりと込めて共産主義という言葉が使っているみたいですね。本来の共産主義思想とは関係はありませんのでご了承を。
この本に羅列されている「偽装改革・「耐震強度偽装」・「食肉偽装」「偽装公務員」に「偽装国家」といった「偽装」の数々を読み進めて思ったのですが、基本的に、日本人は利権が絡むと、都合の悪いことは隠蔽する体質なんでしょうね。利権側の人間(お仲間)の迷惑ばかり考えてしまい。反対側(偽装される側)にいる人間の事など忘れてしまうようです。ある意味、現代日本人の負の側面を知るには良い本だと思いますヨ。
しかし、この本の発行後も、イロイロと「偽装」が発覚しておりまして、ミートホープの「偽装ミンチ」に、コムスンの「廃止届偽装」、爆発事故を起こしたシエスパの「温泉ガス管理偽装」。最近では、「海上給油偽装」「うなぎの生産地偽装」、「赤福生産日時改変偽装」等々と止むどころか悪化の一途を辿っている様に思えます。さらに拍車をかけるように、大マスゴミでさえ「偽装報道」を行っている訳です。どうも、「偽装」は、日本人の生態のようなので、増えることはあっても減ることはないんじゃないかと思ってしまいますね。「恥を知る」文化を失ってしまった現代日本人はどこにいくのでしょう。本書の最後に著者の考える解決策が記載されていますが、実現するとなると難しいように感じますね。
というわけで、前部読んでみて「偽装国家 日本を覆う利権談合共産主義」は良書である事は、間違いないと思っているんですが、著者の勝谷誠彦氏がテレビ番組のコメンテーターであるという事が、本の内容に影響してしまっているのが残念。氏がよく番組で発言している内容が多く含まれていて著者の発言集といった感じあるんですヨ。なので、目新しさが薄く物足りなく感じてしまう訳です。まぁ、逆に考えてみれば、それだけ勝谷誠彦氏の主張には一貫した部分が多いとも言えるんでしょうけどね。ただ、勝谷誠彦氏の発言をよく知らない人にはお勧めですので、是非読んでみてください。
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by G-Tools , 2007/10/25