Political and Economy
日本のインターネットは、利権優先としか思えない著作権保護でがんじがらめになってきましたヨ。
何だか、著作権がらみが騒がしいですね。日本では海外の流れに逆行して、当局や関連団体は著作権の規制強化を図ることにご執心のようです。
最近では、前のエントリーで書いたように著作権侵害罪の非親告罪化を検討していたり、インターネット上の掲示板にわいせつな画像を掲載したとして、「画像ちゃんねる」の運営者らを逮捕(こちら)し、著作権侵害の疑いがある画像が掲載されやすいアップローダー掲示板をつぶしにかかったりしています。後者なんて、どんなにきちんと管理していたとしても、わいせつ画像の管理が不備だと警察が認定すれば、逮捕されるという前歴が出来てしまったので、別件逮捕のし放題っていう事になってしまった様です。同様のサイトが、逮捕されるリスクを背負ってまで運営は出来ないとの事で、軒並み閉鎖していますヨ。
エロ画像の管理が不備なんて、あくまで逮捕する為の口実であり、現行法では著作権侵害の疑いのある画像を掲載していても逮捕が出来ない事から、警察のさじ加減でどうとでもなる「わいせつ物陳列罪」を使って別件逮捕に踏み切ったと思われるんですヨ。たまたま、「画像ちゃんねる」は、エロ画像の比重が大きかったから、見せしめのためのスケープゴートにされたに過ぎないと個人的には見ています。
規制強化でヤダなぁと思っていたら、この流れを後押しするように、東京地裁でネットストレージサービスを使ってネット経由でファイルをバックアップをする行為が著作権侵害罪にあたるという判決まで出ちゃいました。
「音楽保存サービス:ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁」毎日新聞
かいつまんで説明すると、被告とされた会社がサービスを提供している、携帯電話向けの「MYUTA」という音楽ファイルのストレージサービスは、特定のユーザーしかファイルの出し入れが出来ないというクローズドなモノであるにも関わらず、その行為そのものが著作権侵害罪に当たるとの判決を出したという事なんです。著作権の音楽ファイルを出し入れする場合には著作権の管理団体に対して利用許諾の申請が必要で、保存される音楽ファイルに対して利用料が発生するんだそうです。つまり、自分が聴くためだけに、CDからリッピングして、その音楽ファイルを自分のPCからストレージサービスの音楽ファイルをバックアップした瞬間に利用料が発生、支払わなければ違法という事になります。しかも、著作権使用料の二重取りというオマケ付きです。
しかもこの判決、対象が著作権付の音楽ファイルのみで争われていた裁判だった筈なのですが、いつの間にやら、著作権がからむモノすべてに当てはまるように変節されているようなんですヨ。
「gigazine」さんの「ネット上にデータを保存するサービスはすべて著作権侵害で違法です」エントリーや、「ナガブロ」さんの「ストレージの利用がなぜ著作権侵害なのか」エントリーで、詳しく解説されているのですが、正直、昔に作られた法律を、今のネットサービスに適用する事が難しくなっているのに強引に当てはめて、新しく生まれたサービスを無理矢理非合法化しようとしているとしか思えないですヨね。
ネット上のサーバから、ファイルを出し入れする事が違法というのであれば、日々ファイルを出し入れしているサイトの構築等を生業としている人間は、すべて犯罪者予備軍という事になりますね。正直、著作権料の支払い申請をしなけばいけないファイルなのか調べてから仕事なんて非効率的ですし、逮捕のリスクまで背負っているんですヨ。下手すりゃ、レンタルサーバ自体も違法って事になるかもしれないので大変です。クライアントの自サバを建てて、ファイルのアップロードは、クライアント(たいがいPCの知識無し)に行ってもらうというのは、あまりにもナンセンスですヨ。
とりあえず、今回の判決は地裁レベルなので、恐らく被告とされた企業は上告して、高裁で争われる事になると思いますが、上告審で、覆らなかった場合、日本のネット環境は諸外国と比べて大幅に遅れる事になるだけでなく、大量逮捕者を発生させることになるのでしょうか。
そう考えると、なんか、最高裁まで行きそうですナ。
それまでは、曖昧模糊とした状態が続く訳ですが、少なくとも、上記のように警察による摘発・逮捕の対象となるリスクを背負ってしまった事を認識しておく必要がありそうです。ただし、過剰反応するのは時期尚早で、現状維持のまま事態の推移を見守って行く以外の方法はないかなと思ってます。最悪の状態になる前に、何らかの政府判断があって、緩和の方向にいってくれると有り難いんですけどね。
日本政府は利権団体に弱いから期待薄ですけどね。orz
どうなる日本のインターネット!!