Motorcycle
フランスの新興モーターサイクルメーカーEngineering & Moreのモデル「Wakan」は、かなり独創的。
フランスはモーターサイクルメーカーって聞いて、ココと思うような有名メーカーっていうのは、強いて上げればスクーター専門のPeugeotと、現在生産を休止中のVoxanぐらいなんですけど、実は小さいメーカーを入れると5社ぐらいあるんですヨ。Engineering & Moreは、その中一つで、アメリカンクルーザーのエンジンを搭載した独創的なデザインとメカニズムを持ったモーターサイクルを作っている会社です。といっても、今所たった1モデルだけしかラインナップしてないんですけどね。
デザインは見てのとおりの奇抜です。大型のエンジンをさらに大きく見せる事を前提にバランスを取っている為、Vツインのスリムさを維持しながら迫力ある形を表現しています。それを可能にしたのは、薄く造形されたタンクとリアセクションでしょう。横から見ると1クラス下のモノが強引に取付けられているように見え、これがよりエンジンを大きく見せる事になっているようです。この薄いタンクはダミーで、エアクリーナーボックスとしての機能しか持っていません。本来なら燃料の注入口に当たる部分にエアインテークが取り付けられているのが面白いです。その形も往年のアメリカのマッスルカーのボンネットにそそり立っていたターボチャージャー用のインテークみたいで面白いです。で、燃料タンクは何処に行ったのかいうと、シート下に設置されています。シングルシートカウルの上に注入口が設置されてます。後ろから見ると燃料タンクがあるのがよく分かってしまうのですが、他の角度からは目立たなくなっている所が、処理の上手さを感じますヨ。後端の小ぶりなテールランプとウインカーが感じもナカナカよろしいですヨ。また、クリップオンハンドルを採用する事で全高が低い印象を見ることに与えているのも、よりスポーツ指向のモーターサイクルであるという事を認識させる助けになっているようです。
「Motor Box」の記事によると、エンジンのフォーマットは、排気量1640ccの空冷4バルブOHV45°V型2気筒となっています。6,250回転で115hpのピークパワーと、4,250回転で115Nmの最大トルクを発生させます。177kgの車重を加速させるわけですから、考えただけで面白そうです。このエンジンは、アメリカのHarley-Davidson製のモノで、それをS&Sというメーカーがチューニングした特別製との事です。
このエンジンをリジットマウントするクロモリスチール製フレームは、真ん中にかなり太いパイプを持つバックボーンフレームが採用されていて強烈なトルクに対応しているようです。また、13リッターの容量を持つタンクをシート下にしていることで52%の重量配分となっていて、これだけ大きいエンジンを積んでいるモデルとしては、理想的なバランスに近付いています。
足回りは、前後ともスポーツモデルのモノが採用されていて、前倒立サスペンション、後モノショックサスペンションとなっています。フォークのキャスター角は22°と鋭さを狙った設定になっていて、1,370mmというホイールベースと相まって、エンジンに似つかない機敏なハンドリングマシンになっているようです。プレーキのマウント方式は従来の方式なんですが、重量増を嫌ったのかこのクラスにしては珍しいシングルという構成になって、NG製直径340mmのディスクとAJP製の6ポットキャリパーが組み合わされています。でも、やっぱり制動力が足りないのかリアブレーキは、通常より大きめのNG製220mmのティスクが採用されてます。通常のモーターサイクルのように、フロントブレーキを多用して走るようには設定されているようなのですが、リアも同じくらい使いこなさないといけないようですね。
アメリカンな雰囲気を演出しつつも、欧州の技術が詰まったこのモデルは、走らせてみると面白そうというのは見てるだけで伝わってきますよね。ただね、ニーグリップすると太股が後気筒のヘッドに接触しそうですね。ラフな格好で乗ると火傷しそうですけど...。デザインで買う人も多いだろうから、あまりに気にならない部分なのかもしれませんけどね。で、気になるお値段なんですが、まだ決まってないのか、あえて伏せているのか、よく分からないです。欲しい人はコンタクトしてねって事なんですかね。
と、書きましたが、「Riders Club」誌の06年9月号で、アラン・カスカート氏が試乗レポートを書いちゃっているので、知っている人は多いと思います。詳しくは、そちらをご覧いただければ乗り味も含めてよく分かると思いますヨ。この記事によると、最初に生産される15台の限定車は、2000ユーロ前後(日本円で約4,467,000円前後)で売られるそうですが、量産化の暁には価格はもっと下がるそうです。
コメント [2]
なんだかヤマハのMT-01とV-Maxを連想させるバイクですね。ものすごく軽いのが魅力的ですが、本当にこの軽さなんでしょうかねぇ。ちょっと疑心暗鬼…でもかっこいいなぁ。
>takutakumawasuさん
177kgは、乾燥重量です。手作り生産のモデルなんで、量産品では通常使わない素材の部品とか多く使われている為だと思いますヨ。装備重量も空冷エンジンなんでオイル込みでも190kgは超えないと思います。
「Riders Club」誌の06年9月号の記事では171kgとなっていたので、量産化の段階で6kg程増えた事になりますね。造形は変わっていないので、恐らくどこかが剛性アップされたのだと思います。