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思った通り日本の著作権団体の皆様は、DRMガチガチの音楽ファイルレンタルに向かうようです。

来た来た来ましたヨ。先日行われたEMIがCD音質の音楽ファイルをDRMフリーで販売するという発表の時に書いたエントリーで、日本のコンテンツ業界は「拒否反応を示す」と書いたのですが、思っていたとおりの展開になりました。日本の著作権団体一つ著作権協議会(以下CCD)の人から、やっぱりというか、案の定というか、見事なまでに真っ向から否定されたご意見が出てましたヨ。といっても、音楽ファイルのダウンロード配信サービスが始まった頃から、ユーザー主体ではなく権利者主体である事は明白なので、今更驚くほどのモノではないです。

国内の著作権団体、アップル・EMIらの「DRMフリー」サービスを牽制

著作権者団体らが設立したデジタル時代の著作権協議会(CCD)は4月5日、シンポジウム「デジタルコンテンツ流通の課題2007〜権利者と利用者の望むDRM〜」を開催、協議会の最新活動内容などについて報告したほか、望ましい著作権保護(DRM)技術のあり方について議論した。

引用先:CNET Japan:ニュース

記事全体を読んでみるとCCDとしてはDRMフリーというのはナンセンスな出来事のようで、さらに規制を強化すべきだと考えているようですね。現行よりも利用者の権利の幅を狭めた著作権法の改正を画策しているようですし、自らも旗振り役となって、2007年は、コンテンツ、権利者、利用者のIDを著作権管理団体の間で共通化した「許諾コード」の導入を推進し、規制の強化につなげたいみたいですね。ここに一つ気になる言葉が出てきます。利用者のIDっていう部分ですね。記事中では明言はされていませんが、これらID番号などを駆使し個人情報を管理、P2PネットワークにDRM付の音楽ファイルが流出した時、流出元を特定できるようなDRMを開発しようとしているのではないかと思ってしまいましたヨ。

コレが当たっているとするならば、PCやプレイヤーで音楽ファイルを聴く時、いちいちIDの入力を強制させられたりする訳ですかね。ふと気が付いたのですが、これって地デジとかで導入されてる悪名高きDRM「B-CASカード」と同じですよね。PCとかにIDを記憶させておく代わりに「B-CASカード」をマシンに内蔵して利便性UP?じゃないよね。ハックされてIDを抜かれて、そのIDで不正を働かれる心配は小さいですが、なんかゲンナリですヨ。音楽を聴くのにも、「B-CASカード」が必要っていうのは勘弁してほしいです。IDなくしたら、地デジ放送とかの「B-CASカード」と同じように電話をかけて特定団体に再発行してもらうっていう仕組みになるのは、正直面倒です。キッパリ。

確かに、こうすれば、日本独自路線ということで、技術情報の流失によってDRMが破られる可能性は低くできるかもしれませんが、正直、個人情報を特定団体に一元管理されしまう事への抵抗感は大きいです。

今でもDRMが付いている音楽ファイルは、自分たちがお金を払って買ったのではなく、期限無しでレンタルされている感が強いのに、ここまでやったらレンタルと同じですよね。また、今よりも規制が強化され、CDに収録されている音楽データにもこの個人認証を強要したり、再生できるプレイヤーが制限されるようなDRMを取り入れた新しい世代のCCCDが登場すれば(どうやって認証を得るのか疑問ですが)、P2Pで流通している音楽ファイルの量が減るかもしれませんが、意図したようにCDの売り上げが大幅に伸びるという事はなく、今までの様に数を買うのではなく欲しい音楽ファイルだけ絞って買うことになるので、逆に売り上げは激減するように思えます。また、より強固にした為、大規模なDRMの開発費がかかり販売価格に転嫁されて、利用者側に逃げ道が無くなる分商売がしやすくなり、今よりも高額な音楽ファイルや、CCCDを買わされる事になるでしょうからね。間違っても価格が下がることはないと思います。著作権団体は、利用者側もそれを望んでいると強く勘違いしているみたいですし。

ITmedia」の津田大介氏のコラム「「EMIは打つ手がなかった」----DRMフリー化と「CCCD」という無駄 そして日本は」よると、携帯電話向けの「着うたフル」が絶好調な事が強気の原因のようですね。無風状態の市場なので曲単価も単価も高く設定でき、利益率が非常に高い「着うたフル」は、不況にあえぐ日本のレコード会社とって救世主みたいな存在で、これをナンとしても守ろうという所から勘違いはスタートしているみたいです。

携帯端末を換えたら捨てられてしまうだけの音楽に落ちぶれたという事に気が付いていないのか、気が付いていても明日の金が欲しいから目を閉じているのか、どちらにしろ、先細りした市場を作っている事に間違いないと思います。

EMI以外のメジャー3社(ユニバーサルミュージックソニーBMG音楽エンタテインメントワーナーミュージック)の動向にもよりますが、海外と日本国内では、真逆の体制が生まれそうです。規制の緩い海外では、イロイロなコンテンツ配信サービスが生まれ、便利で面白い状況なっていくのだろうと思いますが、日本国内では、既得権益の確保が優先され、そういったサービスの進化は止まり利用者の支持を失いながも細々とやっている所に、ある日突然黒船のごとくやってきた海外サービスに、その海外でのシェア力と実績を背景に規制をこじ開けられ、市場を奪われるっていう事を繰り返すんじゃないでしょうか。残るのは日本独自規格の残骸と、多額の開発費をどぶに捨てた借金だけだったりして...。

ということで、頑張ってくださいナ。もしかしたら、後々この路線は間違ってなかったと言われる日が来るかも知れませんから、明日はきっと明るいかも知れませんヨ。
自分には、暗雲が漂っているようにしか見えませんけど...。

最後に著作権団体の皆様に一言。
「自分達は、沢山の音楽を借りたいのではなく所有したいです。」

コメント [2]

日本の音楽関係、著作権関係の人たちは考えが狭過ぎると思うんですよね、逆に DRM Free にしても CD が売れる方法とか、そういう事を考えて欲しいんですが、CCCD なんか買う気がしませんよね、バカにされてるみたいで、莫大な著作権料を取るなら、その分アーティストに回してもっと良質の音楽を作る事が出来るようにしてもらいたいもんです。今のバカみたいな音楽ばかりには飽き飽きしています。

CD 自体も、どうせだからもっと高音質の物にして欲しいと思います、mp3 が低音質で聞けなくなるくらいの。今ならそれが出来るんですけどね、前に進もうとせず、今のお金の事ばっかり考えているのは、カッコ悪いですね、大人なんですから DRM はフリーにしておいて、もっと儲ける方法を考えて見て欲しいもんです。

>yujirocketsさん
日本の過剰な著作権保護の姿勢には、やはり疑問を感じますね。アーティストから安く曲を仕入れて、客からは高い金で売りつけるというシステムは、それほど美味しい商売って事のようで、やめるつもりはないという宣言なんでしょう。

高音質のCDとかは、既にSuperAudioCDとか発売されていますが、プレイヤーの普及率がネックになって伸びてませんね。ハード、ソフトとも価格が高いっていうのと、DRMガチガチっていうのが原因のようです。
音楽ファイルの方もAACのビットレートを256kbps以上でエンコードすればCDの音質を超えるそうですし、他にも高音質対応のフォーマットは開発されています。ただし、CD以上の高音質音源が出回ってないので、レコード会社がもつマスターからという事になります。

技術的なハードルは下がっている訳で、後はどう商売するかそこだけなんですヨ。現状、後ろ向きすぎて話しならないって事です。

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このページは、naganagaが2007年4月 9日 23:59に書いたブログ記事です。

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