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「外交敗北 日朝首脳会談の真実」で知る日本外交の呆れた実態。そりゃ負けが続くわけですヨ。

外交敗北 日朝首脳会談の真実

内外から日本政府は外交下手だとよく言われているのですが、その下手さが加減が尋常ではない事を知らしめた出来事と言えば、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)に対する外交において他にないでしょう。2度にわたる日朝首脳会談の2回目の首相訪朝の時、悠々と去っていく金正日の背中をボーっと眺めている小泉元首相を見た時、こりゃダメだと正直思った記憶がありますヨ。それから朝鮮半島がらみの問題が起きる度に、日本の外交に対するモヤモヤは払拭される事がありませんでした。そんな時、東京地方以外で放送中の報道番組「たかじんのそこまで言って委員会」で、講談社刊「外交敗北 日朝首脳会談の真実」という本が紹介されたのですヨ。

著者の北朝鮮問題のテレビ番組でおなじみの重村智計氏自ら紹介し、ミスターXって誰っていう質問に表紙に左端で見切れて写っているの人という答えに、日本の北朝鮮外交をかなり精密かつ赤裸々に描いた本だという事を認識したので、今まで抱き続けてきたモヤモヤ解消の為に、早速買いましたヨ。いざ、読み始めてみると、ミステリー小説のように次々と知らない事実が紹介されていて、興味深く読めましたヨ。

本書では、日本の外交を「国会対策的外交」と切って捨ています。日本の国会で行われている質疑応答は、根回しが終わっている最初から答えの決まった討論ごっこなのは、皆さんの知るところだと思いますが、本書によると、それを外交にも当てはめているんだそうです。

相手方の外務省という窓口を使わず、非公式なルートで接触、裏で合意を得た(口約束なので信頼性ゼロ)後、公式に接触。その時の会合はシャンシャンと合意ってな筋書きが「国会対策的外交」というやつです。

相手が友好国なら、日本のやり方にも付き合ってくれるでしようが、相手は、利益を得るためなら嘘や裏切りは問題ないと考える北朝鮮ですからね、相手を見ずに自分のやり方を通すというのは、いかがなものかと思いますヨ。しかも、相手に選んだのは、北朝鮮の工作機関所属のミスターX個人ときたものだから、リスク高過ぎで一体日本政府は何を考えているのかという事ですな。さらには、金正日周辺の核心情報は取れてないし、入手できた少ない情報もバラバラ。その情報も分析ができていない(しない?)ので対策を誤りより悪い方に転がるという悪循環。また、交渉の中身も、無知、無策、場当たり的な対応、利権、保身という凄さです。そこには、国益という言葉はありません。また、与野党議員が入り乱れて国会対策的な独自外交を行い、相手国と勝手に約束をして、政府の外交を混乱させるいう事も起こったりしてます。

さらには、北朝鮮相手の根回しに腐心し過ぎたお陰で、肝心の同盟国アメリカへの根回しを忘れた挙げ句、核問題やテロ等の問題を棚上げにしてまで日朝国交正常化を図ろうとした為に、アメリカ政府は憤慨、日米同盟の崩壊寸前まで事態は悪化したそうなんですヨ。ここは何とか小泉元首相の動物的な勘の良さとブッシュ大統領と築いた親密な関係で切り抜ける事ができたのですが、あまりにお粗末な展開に、読んでて呆れてしましたヨ。

また、これを伝えるメディアも、外国語、国際政治に詳しくない政治部の記者が情報を扱うので、ガセネタや推測で記事を書くので誤報が多く、懇切丁寧に日本の出方を解説したりするので、相手にいいようにされた形跡があるそうなんですヨ。

確かに本書の題名通り、これまで日本が行ってきた対北朝鮮外交は、明らかに「外交敗北」ですね。唯一勝ったと言える所は、拉致被害者5人と、その家族を取り返せた事ぐらいなんですが、著者も書いているように、もし、もっとまともな外交が出来ていれば、拉致被害者全員の帰国は実現していたのではないかと思うと、この勝利は喜べるモノではない事が解ります。

現在、その失点を取り返そうと、阿部政権は頑張っていますけど、ナカナカ長年染みついた慣習としがらみっていうのは拭いきれないみたいですね。コレを挽回するのは容易ではないと思いますが、頑張っていただきたいモノです。

読み終わって言えることは、納税者であるならば、読んでおけというべき内容ですね。日本の外交がどういうものか、新聞、テレビ等の大マスコミはまず報じない情けない交渉能力を知れる内容の濃い書籍だと思いますヨ。正直、税金払うのがバカみたいに感じること間違いなしです。義務なので払いますけどね。

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外交敗北――日朝首脳会談の真実
重村 智計
講談社 2006-07-04
売り上げランキング : 6521
おすすめ平均 star
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by G-Tools , 2006/11/29

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このページは、naganagaが2006年11月29日 00:39に書いたブログ記事です。

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