この｢UDON｣を見ようと思った切っ掛けは、映画館で観た速報でした。内容もよく解らない、ただただ｢うどん｣が映し出される映像を見て、その題材をこの映画は、どう料理するのか興味を持ったからです。それだけで前売り券を購入したのですが、正直、買って正解だったのか本格的な予告編が公開されるまで不安でした。後日予告編が公開されて、ある程度内容を知り、これは｢恐るべきさぬきうどん｣の映画化したと解ったとたん、俄然公開日が待ち遠しくなったんですヨ。自分も四国の人間の端くれですからね。俗に言う｢うどん巡礼｣の真似事みたいな事をしてるので、親近感倍増ってやつです。

香川県民は、とにかくうどんが好きです。全国平均の約2.5倍のうどんを食べていんるんだから、どれだけ好きなのか、このデータだけでも納得してもらえるでしょう。で、この｢UDON｣の監督である本広克行は、香川県出身と言うことで、讃岐うどんには並々ならぬ愛情があるようで、この映画は、徹底的に讃岐うどんの魅力を、観客に力説している作りになっています。

基本的に、スタッフロールが流れると言った明確な分断は行われていません(トータス松本が｢バンザイ｣を熱唱する部分が前半のエンディングと考えもいいかも)が、この映画の構成は、微妙に影響し合いながらも、完全に前半と後半は別の話になっている二部構成になっています。前半は、ベースとなった｢恐るべきさぬきうどん｣を編集した｢麺通団｣の誕生から、讃岐うどんブーム到来までエピソードで、地元のディープなうどん屋さんの紹介とか、それにまつわる面白い話しで構成され、｢うどん巡礼｣をしたくなる事うけあいです。

映画の場合、実話を取り扱っても、そこの場所で撮影をしていない事が多いので、どこかフィクション臭くなるものなんですが、この映画は、すべて本物のお店でロケが行われているので、とってもリアルです。とあるうどん店に辿り着くのに、迷いに迷ったとか、普通の民家がうどん店だった等々、あれ｢うどん巡礼｣してると普通ですから。個人的には、この前半は非常に楽しめました。ただ、｢うどん巡礼｣してない人には、面白さが伝わるか難しいですね。ただ、讃岐うどんブームが急激に収束してしまう展開は、ちょっと頂けなかったですね。だって、連休なんかにうどん食べに遠征しても、人気店はどこも今だ並ばせられている状況なんですヨ。違うなと思うじゃないですか。

次に、後半は前半とはガラリと変わり、ユースケ・サンタマリア演ずる主人公松井香介と、その父を通して、香川県人の讃岐うどんへの情熱を、淡々としたテンポで描いていきます。1杯100円そこそこの讃岐うどんが、なぜ香川県人を、していは全国の人を魅了するのか解ります。最後に、主人公が父の味を再現できたというシーンは感動でした。

しかし、最後のオチは良くなかったですね。ここまでうどんの魅力を伝えたのに、すべてを台無しにされたように感じましたヨ。監督としては収まるところに収まるって展開はしたくなかったのかもしれませんが、アレはダメでしょ。

ということで、すっごく地方限定な映画であるんですが、クスクス笑うような雰囲気が、心地良く楽しい映画でした。ある意味テレビスペシャルなノリなんで、映画にキビシイ人にはウケは悪そうですけどね。

後、一つ。この映画を見終わった後は、間違いなくうどんが食べたくなりますので、事前に美味しいうどん店をリサーチしてから、観に行った方がイイと思いますヨ。ただ、自分の場合は、逆にうどんは食べられませんでした。映画に出てきたうどん店の何軒かの店の味を知っているのが原因ですね。正直、味のタイプが違う地元のうどん店には行けませんヨ。しかも、愛媛県は、コシの強い讃岐うどんに対して、伊予の腰抜けうどんと言われるぐらいコシがないんですから。それはそれで、好きなんですけどね。