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「拒否できない日本」を読んで、アメリカに踊らされる日本の情けなさに涙してみました。
日本は、1952年にサンフランシスコ講和条約が発効されて、アメリカによる占領下を離れ、独立を回復した筈なんだけど、文藝春秋刊の「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」を読むと、今だ占領下なのではないのかと思ってしまいました。今まで日本政府が行ってきた改革は、1994年から毎年提示される「年次改革要望書」や「外国貿易障壁報告書」に書かれてきたモノが殆どなんだそうですヨ。これは機密文書でも何でもなくて、在日アメリカ大使館のサイトで大々的に公開されている文書なんですね。しかも、これは政府間協議の場で日本政府が公式にアメリカ政府に要請した事なんです。自発的に内政干渉を依頼してる訳ですから、目も当てられませんね。なんか、日本政府もアメリカ政府に対して同様のモノを提出しているそうですが、あの我こそ世界一って思っている国が、はいそうですかと実行する筈ないのは間違いなく、今は、アメリカ政府から一方的なモノに変わっているようですヨ。
日本の国会議員や、官僚としては、頼みもしないのにアメリカが政策を作ってくれるので、書き写して、さも自分が考えましたみたいに提出してるんじゃないかと思えてしまう低脳ぶりに涙を誘い、アメリカという国(世界の6割の富を握るというアメリカの富裕層)の際限ない金に対する欲望の深さに驚愕し、あまりの傲慢なやり方に怒りさえ覚える内容なんですが、一歩引いて考えてみると、日本側を被害者扱いし過ぎてないかと思いましたね。
グローバルスタンダードって言葉を隠れ蓑に、本来アメリカしか通用しないやり方を無理矢理押しつけているのは、何も日本だけじゃなく世界中などの国に対しても行っている事です。ヨーロッバ(イギリス除く)や、南米諸国は団結して反発してますし、経済基盤が脆弱な発展途上国のいくつかは、既に経済が破壊された所もあるみたいですが、結局はアメリカのやり方で押し切られているのが現状(テロの頻発とかイロイロと弊害が起きてますけどね)です。そういう時代ですから、日本も、大なり小なりアメリカのやり方を取り入れなければ、国際競争力が維持できないっていうのを踏まえた部分も欲しかったなと思います。ただ、日本に対してやってる事が一番露骨なんで、反米色が強い内容になっても仕方ないかなとは理解してますヨ。
この本が指摘するまでもなく、今の日本政府、とりわけ小泉政権は、日本国としての主体性をどっかに置き去りしたままで、アメリカのご意向だからって何でも取り込んでいるよう見えますね。しかし、個人的に、この「年次改革要望書」や「外国貿易障壁報告書」中には、日本の政治家が官僚を動かすためのマジックも仕組まれているのではないかと思っているのですヨ。
日本政府は昔から外圧に弱いと昔から言われてますが、とある有力な政治家が、自らの政策を実現させようと、アメリカ政府の支持というお墨付きを得る為に、アメリカ政府に働きかけ、この「年次改革要望書」や「外国貿易障壁報告書」に盛り込んで貰っている部分(アメリカ政府もちゃっかり自分んとこの利益になる事も追加してる上で)もあるのではないかということです。小泉総理が、慣習すら無視して血眼になって「郵政民営化法案」を通そうとしたのも、こんな具合にアメリカ政府も巻き込んでいるので、否決させるわけにはいかなかったんじゃないかと思ってます。逆に、「アメリカ産牛肉の輸入問題」に関しては、そういう工作はしていないから、アメリカ農務省の主張を突っぱねる事ができたんじゃないかと思いますヨ。良い意味でも悪い意味でも持ちつ持たれつの関係になっているのでしょうけど、やっぱり日本の方が貧乏くじを引かされている方が多いような気がします。
この「拒否できない日本」という本は、反米気味な内容が気になりますが、今の日米関係を知る上では、良書と言って間違いないでしょう。思ってた以上に蜜月ではない関係に衝撃を受けるかも知れませんが、是非読んで考えて欲しいです。
しかし、この本を読んだ後だと、アメリカ支配が強まって貧富の差が嫌だと言って、中共・韓に寄るべきだと考えがちになると思うのですが、こっちはもっと酷く下手すりゃ貧富の差が広がる上に、自由の無い奴隷みたいな生活になる危険性が強いです。日本に対して、憎しみと嫉妬が渦巻いていることをお忘れ無く。
正直、究極の選択ですヨ。どっちましかと言われれば、自分の場合は、まだアメリカ支配の方だと思います。
これから日本はもっと大変になりますよ。東と西に同じような考え方を持つ拝金主義国家と隣接し、影響力を誇示しようとイロイロといちゃモン付けてくるんですからね。なので日本の方向性を決めて行く、政治家や、官僚の皆様には、国益より経済が大事だって連呼する目先の金しか興味のない国内の拝金主義の方達や、とにかく戦争反対の左巻きプロ市民の皆様方のご意見は脇に置きながら、日本という国の本当の繁栄を第一に考え、先見の明と主体性を持って、媚びることなく隣国と付き合って貰いたいものです。
と、力説してみましたが、多分無理でしょう。なんてったって一部に買収されて、その国の為に働いている議員もいるという噂もあるぐらいですからね。orz
- 拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる
- 関岡 英之
- 文藝春秋 2004-04-21
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- おすすめ平均
- 大いなる警鐘!要熟読玩味熟考慎重行動。
- 日本人はよく考えた方がよいかも
- 日本、これからどうなるの?
- この本はベストセラーになるだろう。なって欲しい。
- 凄い本だ。
by G-Tools , 2006/04/08