Book
タイトルに惹かれて「千円札は拾うな」を読んでみました。
先日、雑誌の立ち読み目的で本屋をぶらぶらしていたら、ビジネス書のコーナーでインパクトのサンマーク出版の「千円札は拾うな」と出会いました。真緑の表紙に書かれた「千円札は拾うな」とデカデカと書かれているデザインは、手に取らせるに十分な訴求力があります。なんか面白そうと思ったので、ナンにも考えず買っちゃいました。帯を読んでみると、「残業を止めれば、給料が増える」と書いていたので、社員に向けた仕事の指南書みたいなものかと思って読み始めたのですが、内容は、予想と全く違って、どちらか言うと経営者、上級管理職向けでした。しかも、経営者一族が要職を独占しているような中小零細企業に務めている一社員には、かなり毒な内容で、自分が務めている会社の経営者が、いかに三流以下かというのが思い知らされる内容になってます。上記に当てはまる企業に勤めている方は、読み終わった後、暗い気分になるので読まない方が賢明だと思いますヨ。
なんでかというと、「お客様は神様です」っていう営業姿勢や、「長時間労働は美徳」とか、その他諸々の従来型の経営手法を徹底的に否定しちゃっているからです。
バブル期までのモノを大量に生み出し消費させる時代にはいい手法だったかも知れないけど、今は、長く続いた不況のお陰で、モノ余りの上、サービス過多の時代になっちゃって、社員の知力を振り絞って、他企業との違いを作らないといけない時代に変わっているのですけど、中小零細企業の経営者って気付いていない、もしくは、気付いているけど、どう改革して良いか分からないので、結局今までやってきた経営手法から抜け出せなくて、その他大勢の中に埋もれていっちゃうんですよね。
文章内容は、パンフレット的で、印象的な言葉を使って要点だけを伝えている感じです。詳細は、自分で考えるか、お問い合せくださいっていう具合に読者を、わざと突き放しているように思えますね。これは、この本がターゲットにしているのが、中小零細企業の経営者、上級管理職だからというのがあるんじゃないかと思います。企業が小さければ小さいほど、歴史があればあるほど、オレ流の経営術にこだわって、とにかくこの手のビジネス書を読まない人が多いんですヨ。具体的な例をあげて手取り足取り解説してくれるマニュアル本のような内容はとにかく嫌うから始末が悪い。だから、そんな人に、とにかく最後まで読んで、イロイロ考えて貰うってことが前提なんでしょうね。印象に残った言葉を付箋貼って、後で反芻するように読み直すといった使い方をすると効果的な気がします。
最後まで読んで思ったことは、結局従来型の経営から脱して、儲けられる体質に変えていくには、発想を変えてかなきゃダメみたいって事ですね。タイトルの言う「千円札は拾うな」とは、目先の成果に踊らされるなと言うことなんですが、それをするためには、まず「捨てる」ことで、過去にリセット(けじめ)をかける必要があるようです。「捨てる」事て、金とモノと仕事を「整理」がつくと、今まで見えてなかった一万円が見えてくるんだそうですヨ。この他にも、「労働時間の短縮」で生じた「余暇」は、従業員に新しいアイディア発想させるために必要とか、発想の逆転をする利点を紹介しています。ただ、話しがヒートアップして自分改革にも及ぶのですが、そこはちょっと余談ということで軽くスルーしました。しかし、この本に書かれてることは、言うは易してすが、実践するとなると至難の業でしょうね。金に余裕のある生活をしてしまうと、それを一時的でも捨てることが出来る人は、殆どいないと思います。
かなり昔読んだ本(雑誌だったかな?)で、「世界中全ての企業は、社会主義国家で、民主主義国家はない」という分析をしているモノがありました。つまり、企業とは社長(会長、取締役会)を絶対的な権力者とした、中央集権型の全体主義の形をとり、収入を給料として各階級に応じて配給している団体ということです。極端な例えになってしまいますが、経営者一族が支配する企業は、金一族が支配する某国とよく似ていませんか。国民の困窮を顧みず金一族が贅沢な暮らしをしているのを考えると、なぜ出来ないのか理解しやすいと思います(ついでに企業犯罪が多いって言うのもね)。この「千円札は拾うな」で、書かれていることを実践できれば、中国共産党になれ、飛躍的な発展が出来るわけですね。(経営者を選挙で社員が選べたら、晴れて民主主義国家です。でも、そんな会社はない。)
まぁ、個人レベルで実践できそうなものはやってみてもイイかもと思ってます。なるべく残業しないとか、できるできないをハッキリ言うことぐらいしかないですけどね。消極的ですけど...。後、知り合いに服装のセンスがいいヤツっていないんだよね〜。