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「Mulhacen 659」は、スクランブラーの復権となるか?

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オンロードもオフロードも両方を走れるマルチパーパスモーターサイクルの先駆けとして登場した"スクランブラー"というジャンルは、70年代にブームと言われるほど一世を風靡したのに、80年代には現代のマルチパーパス車に取って代わられ廃れてしまったジャンルでした。オンロードのネイキッドデザインに、オフロードのデザインを融合した独特のラインは、郷愁として語られるほど古いモノとなっていましたが、スーパーモタードの人気上昇で、オフロード車をベースにしたオンロードスポーツが改造車ではなくメーカーカタログモデル登場し、人気を博している現在、そんなカリカリのスポーツではなく、女性も乗れるようなカジュアルな雰囲気のモデルとして、"スクランブラー"が再び注目を集め始めたようです。
まさに、Derbiが発表した「Mulhacen 659」は、グッドタイミングと言えるでしょうね。まだ、プロトタイプの段階らしいのですが...。

スペインのモーターサイクルメーカーDerbiは、250cc以下の小排気量のモデルを主に生産しているので、日本では馴染みの薄いメーカーなんですが、今回の「Mulhacen 659」は、大型の排気量に挑戦する意欲作なっているようです。

車体のデザインは、往年のスクランブラーを彷彿とさせながらも、現代的なラインでまとめられていて、懐古趣味的な古くささを感じない印象を与えます。しかし、そのシルエットは紛れもなく往年のスクランブラーそのものです。
あくまで薄く作られたタンクとリアカウルは、スーパースポーツのような形をしていて、オンロード車なんだよって感じで、なかなか面白いですね。リアカウル後端のえぐれたところがストップランプになっているんのと、小さめのウインカーで、すっきりとしたテールになっています。逆にフロントのライト周りのビキニカウルは鉄仮面のようにかなり威圧的で、大きめのラジエターがさらに迫力を増加させています。メーター類はビキニカウルの中に横に細長くビルドインされていて、すべての情報は液晶画面で伝えられます。

けど、この「Mulhacen 659」を最もスクランブラーらしく見せているところといえば、やはりその車体左側に貼り付くように取り回されるマフラーでしょう。ラッパ型サイレンサーのスクランブラーらしい雰囲気がいいですよね。エンジンは、ヤマハ製の660cc並列2気筒を使っています。もともとXT660Rというマルチパーパス車のエンジンですから、最適な選択でしょう。パワーも48psと同じになっています。ただし車重が160kgと軽いので本家よりパワフルに感じるでしょう。不釣り合いな程、太いスイングアームがそれを物語っています。(この手のモーターサイクルなんで、見栄えだけで単に太くしただけかもしれませんが...)

18インチのリムサイズのスポークホイールは、「MOTOR BOX」の記事によると、どうもチューブ入りのようです。オンロードメインだったらチューブレス(18インチがラインナップされてるかは分かりません)の方が良かったように思えますが、ここらへんはこだわりってことなんでしょう。この車輪にフロントは倒立フォークとラジアルマウントされたブレーキが装着されるんですが、ミスマッチな感じで面白いですね。強力にブレーキングしたらスポークが曲がっちゃうんじゃないかっていらぬ心配が頭をよぎります。ガンガン攻めるなということですかな。

この「Mulhacen 659」は、スクランブラーという古いジャンルのモーターサイクルなんですけど、デザインが現代的なので、日本で売り出すと、もの珍しさも手伝って結構売れそうな気はすんですが、やっぱり大型免許と価格(安くても輸入車なので割高)がおっきな壁かなぁ。自動車移行確実のカジュアルユーザーが、そこまでするかどうかは疑問です。マニア系は本格モタードだろうから、やっぱり売れるのは難しいか...。

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このページは、naganagaが2004年9月22日 17:25に書いたブログ記事です。

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