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｢宇宙戦争｣は、色々な意味で難しい作品です。

さて、今回は｢宇宙戦争｣の感想って事なんですが、実は、公開された週の土曜日に、もう観ていたのですヨ。プライベートが色々忙しかったのと、感想を文章に出来なかったので、いつの間にかこんな時期になってしまいました。当日は、どしゃぶりの雨の中、友人を二人で見に行ったのですが、悪天候にもかかわらず客入りは上々のようでした。別のスクリーンで｢スターウォーズエピソード3 シスの復讐｣の先行上映がされていたというのを差し引いても、流石はスピルバーグ監督というブランドは強しといったところでしょうか。この作品は全世界同時公開が話題になったのですが、日本での、｢スターウォーズエピソード3 シスの復讐｣の公開が米国より遅れて始まったので、ちょうど同時期の公開が重なり、奇しくもスピルバーグ監督対ルーカス監督の対決となったわけですが、興行成績ではルーカス監督に軍配が上がっているようですね。

原作は、100年ぐらい前に書かれたH.G.ウェルズ作の同名の小説｢宇宙戦争｣なんですが、SF好きの方によると、今回の映画は結構原作に忠実なんだそうです。主人公のレイの家族関係の設定は、時代に反映したものに変えられてはいますが、宇宙人の侵略部分は、ほぼそのままなんだそうですヨ。ただし、侵略される側の人たちを軸に作劇されていたのを、一家族に限定した作劇にしちゃっているので、なんか、ドラマが薄くなっちゃってる感じはしましたね。なんで、自分たちが侵略されなければいけないのかという哲学的な問いかけは最後まで無かったですね。なんか、必死に家族を守る親父が強調され過ぎです。

だから、肝心の虐殺シーンも、実際に圧倒的な科学力を持つ宇宙人が地球を侵略氏にきたら、こんな感じで為す術もなくやられちゃうんだろうなと思ったぐらいですね。逆にあの無慈悲さが、見終わった後、ああいった淡々とした演出も、実際に起こった虐殺事件と重ねてみると、後から怖さを呼び起こしてはくれるますけどね。けど、殆どの観客はドンパチ目的なんで、どのくらい人に伝わったのか難しいところかな。エメリッヒ監督の｢テンディペンデンスディ｣の様に、地球の軍隊が、侵略宇宙人を追っ払う展開をしてくれた方が、良かったのにと思った人は多かったと思いますね。　残念ながら、画面だけを見せて、セリフでの解説が無いまま、観客に虐殺について考えさせるには、ちょっと説明不足は否めないですね。｢テンディペンデンスディ｣がある以上、エンターティメントに徹する事ができないのは仕方がないとは思いますが...。

全編通して思ったのは、この｢宇宙戦争｣は、スピルバーグ監督自身の作った｢未知との遭遇｣と、裏表の関係にあるんじゃないかでした。宇宙人がらみの壮大な話だと思わせつつ家族の話という基本的なところは｢未知との遭遇｣そっくりなんだけど、友好的じゃなかったらどうなのか。その答えが｢宇宙戦争｣なんだろうな解釈しました。ただ、これが物語全体のバランスが悪く感じてさせてしまう原因の一つかもしれません。

それでも、個人的には面白かったですけどね。肉体労働者が主人公なので、説明的なセリフが少なく、理屈屋の登場人物もいないので、セリフや画面から話しを深読みしようとするタイプの自分には、たまらない魅力がありますね。劇中、逃げる人々から、主人公に色々と宇宙人に関する情報が語られるのですが、テレビ局のスタッフ以外の情報は、デマだと考えると色々面白いですよ。まだ、｢宇宙戦争｣未見の方は、そういう見方をすると楽しめますよ。意外と考えながら観る、日本映画ような作品です。